日進市で皮膚科をお探しなら当院へ
当院では、あらゆる年齢層の患者様に幅広い皮膚科診療を提供しており、日常生活や季節の変化に伴う肌トラブルにも対応しています。かゆみ、発疹、乾燥などの皮膚症状は、軽度なものであっても放置すると悪化することがあり、早期の対応が非常に重要です。小さな症状でも早めに受診いただくことで、症状の進行を防ぎ、生活の質を向上させることができます。
当院では、患者様一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた個別診療を心がけており、丁寧な診察と対話を通じて、最適な治療法をご提案いたします。皮膚トラブルの診察においては、皮膚そのものの問題だけでなく、内科的な疾患が関与している可能性にも注目しています。皮膚は体の内側の健康状態を映し出す「鏡」とも言われており、内臓疾患と皮膚症状の関連性をしっかりと見極めることが、時に非常に重要です。隠れている重大な疾患を見逃さないためにも、当院では内科的な観点からの診察・検査を行い、包括的なアプローチで治療を進めます。
さらに、当院では一般皮膚科に加えて、美容皮膚科診療も行っております。しわやたるみの悩みなど、美容的なトラブルに対しても、豊富な治療法やアドバイスをご提供し、患者様の美しさと健康をサポートします。
尋常性乾癬
乾癬の原因と症状
乾癬は、赤く盛り上がった発疹の上に、鱗屑(皮膚の粉)や皮むけが全身に現れる疾患です。乾癬患者の約9割が、尋常性乾癬と呼ばれる病型に該当します。発症は10歳から50歳ごろに多く見られ、発疹はさまざまな大きさ、数、形で現れ、それぞれが癒合して大きな病変になることもあります。頭部、肘・膝、臀部、下腿伸側など、慢性的に機械的な刺激を受けやすい部位に好発します。乾癬は通常、内臓に異常を引き起こすことはありませんが、爪の変形や関節炎を合併することがあります。
乾癬の原因は完全には解明されていませんが、遺伝や環境の影響が関与していると考えられます。風邪をきっかけに発疹が出たり、こすったりする機械的刺激やストレスなどが要因として挙げられます。一方で、日光や紫外線は乾癬に問題ないと考えられています。
乾癬の治療
乾癬は、軽快と悪化を繰り返す慢性疾患です。患者さんの状況に応じて、外用薬、内服薬、光線療法が選択されます。
乾癬の注意点
定期的なフォローアップと健康的な生活習慣の維持が重要です。乾癬の中には、汎発性膿疱性乾癬と呼ばれる重症型もあります。この場合、発熱や膿疱が多発する際には入院治療が必要となるケースがあります。また、服やタオルで擦れる部位のケアも大切です。ゆったりとした服を着用し、綿のタオルを使用して強くこすらないようにしましょう。皮膚が剥がれ落ちる場合も、無理に剝がさないように注意しましょう。
イボ(尋常性疣贅)
イボの原因と症状
「イボがある」と受診される方の中には、実際には皮膚の腫瘍やさまざまな皮膚疾患が含まれていることがあります。通常「イボ」と呼ばれるものは、医学用語で「尋常性疣贅」といわれ、ウイルスが原因で生じる皮膚から盛り上がった小さなできものです。ほかにも、ミズイボ(伝染性軟属腫)やスキンタッグなどの種類があります。
イボ(尋常性疣贅)はヒト乳頭腫ウイルス(HPV)の感染が原因です。このウイルスが皮膚の基底細胞に感染すると、細胞分裂が活発になり、基底細胞が増殖することでイボができます。ウイルス感染であるため、他人にうつる可能性がありますが、正常な皮膚はバリア機能が保たれているため感染しにくいと考えられています。ただし、小さな傷がある場合にはウイルスが侵入する恐れがあります。イボは全身どこにでもできますが、多くは手や指、足の裏にでき、数ミリの盛り上がりが見られます。症状はほとんどなく、単発の場合もあれば多発することもあります。
イボの診断方法
ダーマスコピーで観察したり、他の疾患が疑われる場合には、皮膚の一部を採取し顕微鏡で確認することがあります。
イボの治療
イボの治療は、原因ウイルスを排除し、できたイボを取り除くことですが、特効薬はありません。一般的には、液体窒素を用いて感染した皮膚を凍結させ、壊死させる冷凍凝固法が行われます。凍結させた部位は数日後に剥がれ落ち、その下から新しい皮膚が生えてくることで、免疫が高まります。しかし、一回の治療で完全に治すことは難しく、1~2週おきに繰り返し行う必要があります。途中で治療を中断すると、再発や広がりの可能性があります。この治療の問題点は、痛みが伴うことです。
その他、サリチル酸軟膏を使用したり、ヨクイニンと呼ばれる漢方薬を内服する方法もありますが、効果には個人差があります。
イボの注意点
液体窒素による冷凍凝固法では、水ぶくれができたり、痕が残る場合があります。
スキンタッグ(首イボ)
スキンタッグは、首や脇の下にできる褐色の小さいイボです。尋常性疣贅とは異なり、非ウイルス性のため感染のリスクはありません。スキンタッグは、衣服やネックレスによる摩擦、皮膚の老化、紫外線などが原因と考えられています。大きさによって分類されており、盛り上がりがないものを「アクロコルドン」、2mm~5mmの盛り上がりを「スキンタッグ」、5mm以上のものを「軟性線維腫」と呼ぶことがあります。治療方法としては、液体窒素での処置、レーザーでの削除、小さいものの場合は専用のハサミでの切除があります。
ミズイボ
ミズイボは、伝染性軟属腫と呼ばれ、主に子供に多く見られます。尋常性疣贅と同じくウイルス性のイボですが、原因となるウイルスは異なり、伝染性軟属腫ウイルスが原因です。ミズイボは、手足ではなく身体にでき、数mmの光沢があり、中心が少しへこんでいるのが特徴です。
治療に関しては意見が分かれます。ミズイボセッシで摘み取ったり、液体窒素で冷凍凝固することもありますが、多発するため、痛みに弱い子供には適していません。塗り薬や内服薬で経過を観察することもありますが、即効性は期待できません。自然に治ることも多いため、施設によって対応や治療方針が異なることがあります。
手荒れ
手湿疹の原因と症状
手湿疹とは、手にできる湿疹の総称であり、さまざまな種類があり、その原因や治療法も異なります。適切な治療を行うことで、症状をかなり抑えることが可能です。
特に、多くの主婦を悩ませているのが「主婦湿疹」と呼ばれる手湿疹です。手の皮膚は外部の刺激から守るために他の部位よりも厚くなっていますが、水仕事を繰り返すことで皮膚表面の皮脂や水分が減少し、物理的な摩擦で皮膚のバリア機能が低下します。さらに、洗剤などの化学物質による刺激が加わることで、炎症や発疹が生じます。
初期の症状は手指の乾燥(カサカサ)ですが、進行すると皮膚が割れたり、皮むけやじくじくとした水ぶくれが生じることもあります。傷ついた皮膚は細菌感染しやすく、傷が深くなると痛みを伴うことがあります。
手湿疹の原因
- 主婦湿疹
- 汗疱(かんぽう)
- 掌蹠膿疱症
- アレルギー性接触性皮膚炎
- 手白癬
- 手カンジダ
手湿疹の診断方法
手湿疹の原因として、かび(真菌)が疑われる場合は、皮膚の一部を採取して顕微鏡で観察することがあります。
手湿疹の治療
手湿疹の治療には、まず手湿疹の原因となる物質や行為を避けること、そして保湿剤を使用することが重要です。炎症が強い場合は、ステロイド外用薬を使用します。また、痒みが強い場合には抗アレルギー薬の内服が推奨されます。
塗り薬を使用する際、軟膏タイプは手のべたつきが気になることが多いため、クリームタイプの使用が一般的です。しかし、痛みが強い場合にはクリームタイプが刺激になることがあり、軟膏タイプを使用することもあります。
手湿疹の注意点
手湿疹を予防するためには、水温を低めに設定し、手が乾燥する前にこまめに保湿を行うことが大切です。仕事や家事で頻繁に手を洗う必要がある場合、せっかく塗った薬も洗い流されてしまうため、こまめに塗り直す必要があります。また、水仕事をする際にはゴム手袋を着用し、蒸れる場合にはその下に綿の手袋を着用することが有効です。
使用する洗剤が多すぎる場合や洗剤に対するアレルギー性接触皮膚炎の可能性も考えられます。洗剤の使用方法や成分をよく読み、適量を使用するか、低刺激の製品を選ぶことが有効です。
粉瘤(アテローム)
粉瘤の原因と症状
粉瘤は、本来皮膚から剥がれ落ちるはずの皮脂や垢が皮下に袋状に溜まり、徐々に大きくなる良性の腫瘍です。粉瘤は「アテローム」とも呼ばれ、頭皮、顔、首、背中など、体のどこにでも発生する可能性があります。
粉瘤は通常、無痛で触ると柔らかいですが、大きくなると周囲の組織を圧迫し、痛みを伴うこともあります。粉瘤の中心には黒色の開口部があり、強い圧迫を加えると、独特の臭いがするドロッとした膿が出てくることがあります。この開口部から細菌が侵入すると、炎症を引き起こして感染性粉瘤となり、痛みや腫れが生じるため、炎症を抑える治療が必要です。
粉瘤の診断方法
粉瘤の診断は通常、症状や触診、超音波検査などを通じて行われます。診断時には、他の腫れや腫瘍との鑑別が必要です。
粉瘤の治療
自覚症状がなければ、粉瘤はそのまま様子を見ても問題ありません。しかし、整容上の問題や感染のリスクがある場合は、手術で袋状の構造物をくり抜いて取り除く必要があります。感染性粉瘤となっている場合、再発のリスクが高く、完全に取り除くことが困難なことがあるため、「切開排膿」という方法で、膿がたまった袋の中の内容物を排出する治療を行います。この治療では袋状の構造物が残るため、再発する可能性があり、後日再度摘出手術が必要になることがあります。
当院での対応が難しい場合や高度な治療が必要な場合には、専門病院へのご紹介をいたしますので、安心してご相談ください。
粉瘤の注意点
粉瘤ができても、無理に触ったり潰したりしないようにしましょう。細菌が侵入して感染を引き起こすリスクがあります。
粉瘤は不潔にしているからできるという誤解がありますが、実際には袋状の構造物ができやすい体質が原因とされています。
帯状疱疹
帯状疱疹の原因と症状
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus)が原因となるウイルス感染症です。以前に水痘(水ぼうそう)を経験した後、ウイルスが神経に潜伏しており、これが再活性化することで帯状疱疹が引き起こされます。年齢を重ねると免疫機能が低下しやすくなるため、加齢そのものが帯状疱疹の発症リスクを高めます。また、がん治療や免疫抑制治療を受けている方も免疫機能が低下しているため、帯状疱疹のリスクが高まります。
主な症状としては、激しい痛みやピリピリ感を伴う発疹が体の片側に帯状に広がることが挙げられます。この発疹は水疱やただれに進行し、かゆみや灼熱感(神経痛)も感じることがあります。痛みの程度は個人差があり、発疹が治まった後も長期間にわたり神経痛が続くことがあります。
帯状疱疹の診断方法
帯状疱疹の診断は、主に症状や発疹の様子から行われます。必要に応じて、発疹部位から綿棒で内容物を採取し、ウイルスの検査を行うこともあります。検査は簡易であり、数十分程度で結果が出ることが一般的です。
帯状疱疹の治療
帯状疱疹の治療には、抗ウイルス薬や痛み止めが一般的に使用されます。抗ウイルス薬は早期に使用することで、症状の軽減や合併症の予防が期待できます。発疹が出現している間の痛みに対しては、痛み止めを内服しますが、疼痛が強い場合や慢性的な神経痛が残る場合には、ペインクリニックでの神経ブロックなどの専門的な治療が必要になることがあります。また、安静に過ごすことも回復を助けるために効果的です。
帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹の発症を予防するためには、ワクチン接種が有効です。乾燥組換え帯状疱疹ワクチン「シングリックス筋注用®」は、50歳以上の者に加えて、「帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる18歳以上の者」にも接種が推奨されるようになりました。ワクチン接種により、帯状疱疹の発症リスクを減少させることができます。
帯状疱疹ワクチンの接種について
局所反応の副反応は3日から1週間以内におさまる一時的な症状ですが、シングリックスの方がやや強いと言われています。シングリックスは効果が高いものの、2回接種が必要で、費用も高い点が特徴です。
新型コロナワクチンと帯状疱疹ワクチンの接種について
新型コロナワクチンと帯状疱疹ワクチンを同日に併用して接種することはできません。新型コロナワクチンと他のワクチンは、片方のワクチンを接種してから2週間後に接種可能となります。
帯状疱疹の注意点
- 帯状疱疹は水痘(みずぼうそう)と同じウイルスが原因なので、水痘にかかってない方、特に赤ちゃんかお子さんへはみずぼうそうを発症させる可能性があり注意が必要です。帯状疱疹が他の人にうつることはありません。
- 帯状疱疹と診断されたら、自宅でできるだけ安静にしましょう。疲労やストレス、免疫力の低下が原因であり、帯状疱疹の発症は体が弱っているサインです。十分に睡眠をとり、心と体を休めることが大切です。
- 帯状疱疹の疼痛は冷やすとひどくなることがあります。体を温めるようにしましょう。自宅のお風呂にならつかってもかまいません。
- 水泡がかぶれると、そこに他の菌による感染が起こりやすくなります。水泡には直接触らないようにしましょう。
- 目の近くにできた場合、角膜障害から視力低下やひどいと失明する可能性があります。眼科への確認も必要です。
- 耳にできた場合、顔の半分が動かなくなる顔面神経麻痺を起こす可能性があります。
ヘルペス
ヘルペスの原因と症状
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症です。単純ヘルペスウイルスには1型(HSV-1)と2型(HSV-2)の2つのタイプがあります。1型は主に唇や顔面に、2型は陰部などの性器を中心とする下半身に発症します。多くの人は幼少期に家族から口唇ヘルペスに感染していますが、近年では衛生状態の向上や家族の小規模化の影響で、20代から30代の約半数の人が抗体を持っていません。
子どものころに初めてヘルペスに感染すると、多くの場合、症状がほとんどないか軽いものです。しかし、大人になってから初めて感染すると、症状が重くなることがあります。
症状は、まず軽いピリピリ感から始まり、その後、水ぶくれやただれ、痛みを伴うことがあります。症状が出ている時期は、口唇ヘルペスの水ぶくれにウイルスが多く含まれています。これにかかったことがない人や免疫が弱っている人は、接触することで口唇ヘルペスに感染しやすくなります。感染後、通常3~7日で症状が現れることが一般的です。また、感染部位に触れた後に他の部位に触れることで、感染が広がることもあります。
ウイルスを持っていても症状が出ていない場合、ウイルスは神経節に潜んでいることがありますが、唾液や精液などにはウイルスが含まれていることがあり、これがキスや性行為を通じて相手に口唇ヘルペスや性器ヘルペスをうつす可能性があります。
ヘルペスの診断方法
ヘルペスの診断は、通常、症状や発疹の様子を見て判断されます。時には、発疹部位から綿棒で内容物を採取し、ウイルスの検査が行われることもあります。これは簡易な検査で、数十分程度で結果が出ます。
ヘルペスの治療
ヘルペスの治療には、抗ウイルス薬や痛み止めが一般的に使用されます。早期に抗ウイルス薬を使用することで、症状の軽減が期待できます。軽症の場合は内服薬が用いられますが、重症の場合や内服薬が効果を示さない場合には、点滴注射薬による治療や入院が必要になることがあります。
ヘルペスの注意点
口唇ヘルペスは、感染者が症状を持っているときだけでなく、症状がないときでも他人に感染するリスクがあります。そのため、予防には感染部位に触れる際の注意が必要です。また、キスや性行為の際には、相手と感染リスクについて十分にコミュニケーションをとることが重要です。
特に、アトピー性皮膚炎の方は注意が必要です。アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が低下しているため、ヘルペスウイルスが皮膚から感染しやすく、掻くことで感染が広がり、症状が悪化することが多いです。さらに、発熱やリンパ腺の腫れが伴うこともあり、アトピー性皮膚炎に合併した単純ヘルペスの診断が難しい場合があります。早期の医療機関への受診が推奨されます。
水虫
水虫の原因と症状
水虫は主に白癬菌(カビ)が原因で発生する感染症で、特に湿気の多い環境で感染が広がりやすいです。水虫は、足の間(足白癬)、爪(爪白癬)、陰部(陰部白癬)など、湿気がたまりやすい場所に発症します。多くの人が素足で歩く場所には白癬菌が存在しており、特に乾きにくい靴やお風呂場などの濡れた床は注意が必要です。
水虫に感染すると、かゆみ、赤み、ひび割れ、そして悪臭がすることがあります。爪白癬の場合、足の爪が変色・変形したりすることもあります。さらに症状が進行すると、水泡やただれも見られることがあります。水虫はすごくかゆくなる病気という印象があるかもしれませんが、かゆみの症状がない人、夏だけかゆい人、水虫に気づかない人が多くいます。
水虫の診断方法
水虫かどうかを見た目だけで判断するのは難しいことが多いです。白癬菌は皮膚の表面にある角質を栄養として増殖し、角質や爪、毛に寄生します。そのため、診断には患部の皮膚や爪をメスやハサミで採取し、顕微鏡で観察することが必要です。
白癬菌が確認できれば水虫と診断されますが、観察部位によっては菌が確認できないこともあります。また、市販の薬で部分的に症状が改善されて菌が減少している場合や、他の病気と合併している場合もあります。そのため、症状の経過を見ながら何度か検査を行うこともあります。
水虫の治療
水虫は、適切な治療を根気よく続けることで完治できる病気です。ただし、非常に再発しやすいため、治療期間はおおよそ半年以上が目安とされます。かゆみや見た目が改善した後も、しばらく治療を続けることが重要です。
水虫治療の基本は塗り薬です。塗るタイミングは、お風呂で足をきれいに洗った後、水分をしっかりと拭き取り、足が乾燥した状態で行うのが効果的です。足の裏、側面、指の間、指、爪の周囲、かかとなどにまんべんなく塗りましょう。適切に塗ると、1日あたり約1g程度の薬を使用することになります。
爪白癬の治療には、爪専用の外用薬を使用しますが、周囲の皮膚に薬が付着した場合は拭き取るようにしてください。爪白癬は、爪が生え変わるのに時間がかかるため、治療期間は通常半年から1年程度が必要です。
重症の水虫の場合、塗り薬だけでは治りにくいことがあります。その際は、飲み薬が処方されます。内服期間は3~6か月ですが、内服終了後も効果が持続し、徐々に改善が期待されます。効果が得られない場合、飲み薬の種類を変更することもあります。飲み薬には肝機能障害などの副作用のリスクがあるため、治療前や治療中には定期的な採血検査が必要です。また、他の病気で使用している薬との相互作用がある場合もあるため、現在使用中の薬を確認することが大切です。
水虫の注意点
足を清潔に保ち、通気性の良い靴や木綿・麻の靴下を選ぶことが予防に効果的です。また、水虫は家族にうつる可能性があります。毎年水虫になる人は、家族同士で感染が繰り返されている可能性があるため、足ふきマットやスリッパを別にするなどの対策を講じましょう。
水虫の箇所から他の細菌が侵入し、皮膚感染症を引き起こして重篤な状態に至ることがあります。水虫の疑いがある場合は、早めに病院で診察を受けることが重要です。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎の原因と症状
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部分に生じる慢性の皮膚炎です。原因としては、皮膚に常在するマラセチアというカビが関与していると考えられています。このカビが皮脂を分解し、その分解産物が皮膚に刺激を与えるため、赤みやカサカサが発生します。症状が出やすい部位には、頭皮、髪の毛の生え際、眉毛、耳、鼻の周り、脇の下、胸、背中などがあります。マラセチアは皮脂を栄養源としているため、皮脂が多いとカビが増殖しやすくなります。
脂漏性皮膚炎の治療
脂漏性皮膚炎の治療には、抗真菌薬の外用薬や炎症を抑えるステロイド外用薬が用いられます。皮脂の分泌を抑えるためにビタミンの内服薬や、痒みが強い場合には抗ヒスタミン薬の内服も行われることがあります。症状が落ち着いた後も再発する恐れがあるため、脂漏性皮膚炎の原因に対する対策を講じて予防することが重要です。
脂漏性皮膚炎の注意点
脂漏性皮膚炎の注意点としては、皮脂の成分や分泌量を整えることが挙げられます。食生活やストレス、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れも影響します。皮脂がたまらないように洗顔や洗髪を行うことが必要ですが、その際は強く擦り過ぎず、優しく泡で洗うようにしましょう。
皮脂を抑える食事
皮脂の分泌を抑える「ビタミンB2」を摂取しよう
レバー、卵、海苔類、キノコ類、納豆など
皮脂の分泌を抑える「ビタミンB6」を摂取しよう
カツオ、アジ、サンマ、マグロ、鶏むね肉、にんにくなど
脂質の多い食事をさけよう
ファーストフード、ラーメン、揚げ物、スナック類、チョコレートなど
シラミ症
シラミ症の原因と症状
シラミはかろうじて目に見える程度の昆虫で、人に寄生します。人に影響するシラミには、主に3種類があり、頭に寄生する「アタマジラミ」、衣類に寄生する「コロモジラミ」、陰毛に寄生する「ケジラミ」があります。皮膚から吸血することで強いかゆみが生じ、湿疹を起こします。
シラミ症の診断方法
毛にシラミやその卵が付着しているのを確認します。シラミとフケやケアキャストなどの付着物を区別するため顕微鏡で観察することがあります。
シラミ症の治療
アタマジラミの治療には保険適応の薬はありません。市販のしらみ駆除用のシャンプーを購入いただき、3日に1度、計4回使用頂きます。シラミは孵化するのに7日かかります。シャンプーはシラミの成虫には効果がありますが卵には効果がないため、4回使用して卵からかえった期間もカバーする必要があります。
シラミ症の注意点
お風呂だけではアタマジラミはうつりません。子供同士が頭をくっつけてじゃれあったり、寝具、タオル、クシなどをほかの人と使いまわすとうつる可能性があります。シラミは繁殖力が強く、すぐに数が増えるため早期発見と迅速な治療が重要です。 兄弟がいる場合、両親も症状があれば同時に治療する必要があります。寝具やタオルは熱湯で処理した後に洗濯し、アイロンをかけることでシラミを死滅させるのが効果的です。
とびひ
とびひの原因と症状
とびひは伝染性膿痂疹と呼ばれる皮膚の細菌感染症です。接触でうつり、火事の飛び火のように広がるため「とびひ」と呼ばれています。多くのシチュエーションは、虫刺されやあせも、アトピー性皮膚炎などで掻いた傷に細菌感染を引き起こしてとびひになります。特に鼻の周りから始まる場合が多く、鼻の周囲には様々な細菌がもともと皮膚に常在しており、子供が鼻を触る癖があると、その手で引っ掻くことでとびひが始まります。とびひには大きく2種類に分けられます。1つはみずぶくれができて、皮膚がむけることが多い水疱性膿痂疹と、もう1つは炎症が強く、かさぶたが厚く付いたみずぶくれができにくい痂皮性膿痂疹です。
とびひの診断方法
ほとんどの場合は、臨床的な特徴から診断を下します。場合によっては細菌培養検査や血液検査を行うこともあります。
とびひの治療
とびひの治療には、原因となる細菌に対する抗生剤の内服薬や抗菌薬入りの塗り薬を使用します。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬を服用することもあります。水疱性膿痂疹の場合、水疱の内容液で感染が広がる恐れがあるため、軟膏を塗った後に全体をガーゼで覆い、1日数回取り替える必要があります。
とびひの注意点
とびひの注意点として、他人への感染や皮疹の悪化を防ぐため、完全に治るまでプールは控えるべきです。また、まれにA群β溶血性レンサ球菌による腎機能障害が発生することがあるため、必要に応じて採血や尿検査が行われることがあります。黄色ブドウ球菌の感染では、黄色ブドウ球菌が作る毒素によって全身がやけどのように赤くなり、皮膚が剥けるブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)に発展することもあります。これには入院治療が必要な場合があります。
円形脱毛症
円形脱毛症の原因と症状
円形脱毛症は、主に免疫系の異常によって体の免疫細胞が健康な毛根を攻撃することで、円形や楕円形の脱毛が生じる脱毛症の一種です。ストレスや感染症などが引き金になるとされていますが、原因が明らかでないこともあります。
症状としては、頭部の髪が円形に抜け落ち、丸いパッチ状の脱毛が見られることもあれば、それが多発したり、生え際が帯状に脱毛するタイプ、頭部以外にも脱毛がみられるタイプがあります。脱毛前に軽い掻痒感や赤くなることがありますが、多くは皮膚には何らかの変化がないため、初期は見逃されやすいことがあります。
円形脱毛症の診断方法
円形脱毛症の診断には、脱毛の経過や合併症の確認が必要です。ダーモスコピーでの観察や自己免疫疾患の合併の精査のため血液検査が行われることもあります。
円形脱毛症の合併症
- 橋本病などの甲状腺疾患
- 尋常性白斑
- 全身性エリテマトーデス(SLE)
- 関節リウマチ(RA)
- Ⅰ型糖尿病
- 重症筋無力症
- アトピー性皮膚炎
円形脱毛症の治療
円形脱毛症の治療には、いくつかの選択肢があります。保険適応がある一般的な治療法には、ステロイド外用薬やステロイド局所注射が含まれます。その他、光線療法や薬物療法(JAK阻害薬、ステロイド内服、抗アレルギー薬、セファランチン、グリチルリチン)なども検討されることがあります。治療法の選択は、個々の症状や進行具合によって異なります。
ウィッグ(かつら)の使用は、直接的な治療効果はありませんが、生活の質を向上させたり、前向きな気持ちを持つのに役立つことがあります。蒸れたりすることで治療に影響を及ぼすことはありません。
円形脱毛症の注意点
注意点として、脱毛が急速に進行する場合には、入院して点滴静注ステロイドパルス療法が行われることがあります。自然に改善することもありますが、早期発見と適切な治療により改善の可能性が高まります。気になる症状がある場合は、病院を受診することが大切です。また、円形脱毛症は心理的な負担を伴うため、ストレスをため込まないよう、リラックスできる環境を整えることも重要です。