TOPへ

熱が出た・熱を下げる方法はある?

風邪症状(発熱)が起こる原因

ウイルス排除のために免疫が活性化する


風邪の原因であるウイルスに感染すると、免疫系が活性化してウイルスを排除しようとします。この過程で、免疫細胞が感染した組織に集まり、炎症物質のサイトカインを放出します。サイトカインは炎症反応を引き起こし、他の免疫細胞を活性化させます。この炎症反応は、体内の異物やウイルスを攻撃し、感染した組織を浄化するために重要です。その結果、発熱、喉の痛み、鼻づまり、くしゃみなどの症状が現れることがあります。これらの症状は、ウイルスに対する免疫系の応答の一部で、体の正常な免疫反応です。

風邪で熱が出る・関節痛などの全身症状が起こる理由

風邪を引くと、鼻やのどの粘膜で炎症が起こります。この炎症で鼻水や鼻づまり、くしゃみ、のどの痛みなどの症状が現れます。また、炎症物質が血液で全身に運ばれることにより、筋肉痛や関節痛、頭痛、発熱などの全身症状が起こります。
発熱は免疫細胞がウイルス侵入の情報を脳に伝えることで、身体を守ろうとする防御反応が起こり、体温が上がることで生じます。
一方、筋肉痛や関節痛、頭痛は、炎症物質が筋肉や関節、神経に作用することで起こります。
こうした症状は、病原体を排除するために免疫系が反応することで起こるもので、症状が出ることは正常な免疫反応です。
また、風邪による症状は、適切なお薬の服用、水分補給や休息を十分にとることで治まっていきます。

風邪症状が起きた際の対処法(熱を下げる方法はある?)

悪寒や震えは風邪などによる発熱の前兆

震える寒気や震えは脳の視床下部から病原体と戦うために体温を上げる指示が出ることで、筋肉が収縮して起こる症状です。風邪や感染症の初期症状として現れます。
また、筋肉痛や関節痛、倦怠感などの全身症状も、寒気や震えと同じく免疫反応の一部として起こることがあります。
これらの症状が起きている場合、症状が増悪しないように十分な休息、水分摂取を行いましょう。発熱症状が起こる前に対応することで、風邪や感染症の症状を緩和することが可能です。
なお、高熱が続いている、症状が重い場合は当院までご相談ください。特に基礎疾患を持つ方や高齢者、免疫力が低下している方は、早めの受診が重要です。

熱は無理に下げる必要はない

発熱は、多くの方が早く下げたいと考える症状ですが、実は免疫システムがウイルスや細菌と戦うための自然な反応です。発熱によって体内の病原体が抑制されるため、必ずしも熱を下げることが治癒につながるわけではありません。
発熱時には無理に熱を下げようとするのではなく、まずは免疫機能をサポートすることが重要です。十分な栄養と水分を摂取し、体を安静に保つことで、体が病原体と効率的に戦える環境を整えましょう。これにより、免疫が十分に機能し、自然に熱が下がることが期待できます。
ただし、38℃以上の高熱が続く場合には、発熱によって体力を消耗しやすく、重症化や合併症のリスクが高まるため、早期の対応が求められます。これらの方々は、発熱が見られた場合には、自己判断せずに速やかに受診することが推奨されます。

風邪で起こる発熱は温める・冷やす どちらが良い?

風邪の初期

風邪を引いてすぐの頃は、体を冷やさないように体を温めると良いでしょう。
悪寒や震え、顔が青白くなるなどの症状が起きた場合、体温を上げるために下記のようなことを行うのがおすすめです。なお、過度な発汗や厚着は控えてください。

部屋を暖める

風邪の初期症状が現れた時には温かい場所に移動する、暖房などで部屋を暖めましょう。

暖かい素材の衣服を着る

暖かい素材の服を着る、重ね着をすることも有効です。
帽子やマフラー、手袋、靴下などを着用し、頭や首、手足が冷えないようにしましょう。

布団に入る

暖かい布団で寝るようにしましょう。毛布や電気毛布を必要に応じて活用することもお勧めです。

温かい食材・飲み物を摂る

温かいスープやジンジャーティー、ハーブティーなどは身体を温めるのに有効です。

熱がピークを越して汗をかきはじめたら

ウイルスが徐々に減ると、脳の体温調節中枢が体温を下げようと、発汗を促したり、血管を弛緩して血流を促したりすることで、体内の熱を外に逃がします。熱が上がりきると、汗をかきやすくなるため、薄い衣服を着る、汗をかいた服を着替えるなどで調整すると良いでしょう。
また、保冷剤をタオルで包み、首すじや脇の下、足の付け根を冷やすこともお勧めです。

風邪で熱が出た時はお風呂に入って大丈夫?

お風呂風邪を引いている時は入浴を控えた方が良いという言説がありましたが、近年の研究結果から、適切な方法で入浴していれば風邪へ悪影響を及ぼすことはないということが判明してきています。

熱があるときの入浴で注意すべきこと

水温と入浴時間を調整しましょう

風邪を引いている時は体温調整が難しくなります。お風呂は程よい温度に調整し、長風呂は控えましょう。高温での入浴や長風呂は体に負担がかかる恐れがあります。

入浴後は体を冷やさないようにしましょう

入浴後は体が冷えないように、すぐにバスローブなどで体を覆い保温をしましょう。また、温かい飲み物を飲み、冷えを防ぐことも有効です。

症状や体調に応じて入浴時間・頻度を調整しましょう

風邪の症状や体調に応じて、入浴時間や頻度は変更する必要があります。体に負担のかからない範囲で入浴するようにしてください。

風邪による発熱症状を和らげる市販薬

発熱はウイルスを排除する免疫反応のため、無理に熱を下げようとすることはお控えください。しかし、体力が消耗されていくため、体の負担を抑えるために解熱鎮痛成分が入った風邪薬の服用がお勧めです。
発熱時は、筋肉痛や関節痛、頭痛などの全身症状を伴うことがありますが、解熱鎮痛成分で症状の軽減が期待できます。
風邪薬が直接ウイルスに作用するわけではありませんが、辛い症状を抑えることで、ウイルスを排除する免疫の働きを助けます。市販薬を使用される際には下記の点に注意してください。

  • 基礎疾患のある方や他のお薬を飲んでいる方、妊婦の方は、医師や薬剤師、登録販売者などに相談した上で使用するようにしましょう。
  • 市販薬を服用しても効果が十分に現れない場合、受診して原因を確かめ、原因に応じた適切な治療を受けましょう。
    市販薬は症状を一時的に解消することができますが、ウイルスの排除や根本的な治療を行うことはできません。

このような発熱は風邪とは別の原因が疑われます

風邪では、発症後数日ほどで発熱が治まることが多いです。下記のような場合は、風邪とは別の原因が疑われるため、早めに当院までご相談ください。

高熱が続く場合

風邪が原因の発熱症状は、発症後数日ほどで治まることが多いです。しかし、38℃以上の高熱がなかなか治まらない場合、別の疾患が原因として疑われるため、当院までお早めにご相談ください。

胸痛や呼吸困難などの症状を伴う場合

風邪が原因の発熱は軽度なことが多いですが、胸痛や激しい咳、呼吸困難などの症状を伴う場合、風邪以外の原因が疑われるため、お早めに当院までご相談ください。

意識が薄くなる感覚がある場合

高熱が出て意識が薄くなる感覚がある場合、風邪以外にも別の原因が疑われるため、早めの受診が必要です。

風邪を引きにくくするには?風邪の予防方法について

ウイルス感染を防ぐ

風邪を起こすウイルスは数百種いると言われており、症状が治まっても別のウイルスに感染する可能性があります。風邪を防ぐにはウイルスに感染しないように、手洗い・うがい、マスクの着用、人が集まる場所に行くことを避けるなどが有効です。

体の免疫力を高める

鼻やのどの粘膜にウイルスが感染しても、免疫がしっかりと働きウイルスを排除することができれば、風邪の発症を防ぐことができ、発症したとしても重症化しません。風邪の発症を抑えるためには、免疫力を高めることが大切です。免疫力を高めるために、以下の内容に取り組みましょう。

バランスが整った食事

栄養バランスが整った食事を摂りましょう。タンパク質やビタミン、ミネラルなどを豊富に含む食品、新鮮な野菜や果物などを意識的に摂取することで免疫力の向上が期待できます。

十分な睡眠時間の確保

免疫力の回復・維持のためには睡眠が欠かせません。十分な睡眠時間を確保することに加え、睡眠の質を高められるように工夫しましょう。

ストレスを溜めない

ストレスが続くと免疫力が低下してしまいます。ストレスを溜めないように、趣味などリラックスできる時間を確保しましょう。

適度な運動を習慣化

運動を適度な範囲で行うことで免疫力が高まります。散歩など適度な運動を習慣化しましょう。

禁煙・節酒

過度な飲酒や喫煙は免疫力を低下させてしまいます。免疫力を維持するためにも喫煙・節酒に取り組みましょう。

新型コロナウイルス感染症の可能性がある場合はたがやクリニックまでご相談ください

新型コロナウイルス感染症は、風邪と同様の症状を示しますが、症状が風邪よりも長引き、また症状の程度も強い傾向があります。
風邪は通常、発症から3~4日で症状は治まりますが、新型コロナウイルス感染症は症状が4日以上続き、かつ高熱や強い倦怠感、息苦しさや呼吸困難などの症状も起こります。
特に、高齢者や肥満の方、基礎疾患を抱えている方などは重症化リスクが高いため、風邪症状が軽度の場合も早めに当院までご相談ください。